チャイルドシート パーフェクトガイド

産後


赤ちゃんの誕生(おめでた)が分かり、出産に向けての準備をするとともに、出産後の準備を
同時に行っていくと思います。
育児用品には、紙おむつや哺乳瓶からベビーカーやベビーベッドまで様々な種類があります。

育児用品によっては、例えば、ベビーベッドは用意せずに、ママの布団で一緒に寝る・・・など、
代替がきくものもあります。
その中で、絶対に代替がきかないものがあります。
それは、チャイルドシートです。

チャイルドシートの着用は2000年4月から道路交通法の改正により義務化されています。
自動車の運転者は、チャイルドシートを使用しない6歳未満の幼児を乗せて、 運転してはならないことが決められています。(道路交通法第71条の3第3項)

道路交通法第71条の3第3項とは

自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であって、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。
以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。
ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。


6歳未満の子供を乗せる場合、その他政令で定めるやむを得ない場合以外を除いて、
必ず着用しないといけません。

今回はチャイルドシートを、種類や年齢、法律、使用方法、安全基準など、徹底解説していきます。

チャイルドシートは何歳まで使うのか?

上記の通り、チャイルドシートは、6歳未満は着用義務となっています。
また、6歳以上でも、身長が140cmに満たないお子さまの場合、安全のためチャイルドシートやジュニアシートを使用した方が良いとされています。

これは、シートベルトの設計が関係しており、車のシートベルトは身長140cm以上を対象に設計されているため、身長が満たない子供の場合、ベルトが首やお腹にかかってしまい、衝撃が加わった時に首や内臓にダメージを受ける可能性がある為です。

身長が140cmというのは、大体小学校6年生(11歳)頃になります。
法律上で使用義務が定められているのは6歳未満までで、その先は任意になりますが、
お子さまの安全性を考慮すると、ジュニアシートを使用した方が良さそうですね。

チャイルドシート? ジュニアシート? 何が違うの?

子供用のカーシート全般を総称してチャイルドシートと呼びますが、実際にはショップや雑誌、WEBなどで、ベビーシート・チャイルドシート・ジュニアシート・ブースターシートなど、様々な呼び方のシートを見かけると思います。

●ベビーシート

ベビーシートとは、新生児から1歳くらいまでの乳児専用のシートです。
大きな特徴としては、シート本体に持ち手がついています。
眠った赤ちゃんを乗せたまま持ち運ぶこともできることから、ベビーキャリーとも呼ばれています。

ベビーシートは汎用性が高く、持ち手があるので移動させやすく、自宅の中でロッキングチェアとして使用し、外出時には赤ちゃんを寝かせたまま車まで移動して、チャイルドシートとして使用し、目的地に着いたらベビーカーにドッキングして新生児から使えるベビーカー(トラベルシステムなどと呼ばれています)にする事が出来たりします。

使用期間が1歳頃までと短いためにその後は幼児用チャイルドシートへの乗り換えが必要となります。


●チャイルドシート

チャイルドシートとは、新生児から4歳くらいまでの乳児・幼児兼用のシートです。
一般的にチャイルドシートというと、このタイプの事を指します。
赤ちゃんの成長に合わせた座り心地を実現するために、インナークッションやヘッドサポートが取り外せたり、調節可能になっているのが特徴です。


チャイルドシートには規格が存在し、現状では ECE R44/04 と ECE R129 (i-Size) があります。

ECE R44/04とは
2012年7月1日に完全移行された安全基準で、10年以上前から運用されている規格です。

ECE R129 (i-Size)とは
2023年9月1日で完全移行される安全基準で、R44基準の安全性をさらに高めた内容となります。
ISOFIXで取り付けられるチャイルドシートを対象にしています。

チャイルドシートは育児用品ではなく、自動車部品の扱いでとなっている為、日本では国連欧州基準(UN-ECE)の基準に適合したものだけが新規販売する事ができます。


R129は、2023年9月1日で完全移行とされますが、「完全移行」とは、
その日以降、メーカーはR129以外のチャイルドシートの生産・出荷はできないという意味です。

R44/04は、2023年8月末をもって生産・出荷が終了となりますが、R44/04規格のチャイルドシートを使い続けることや新たに購入することは問題ありません。

これから新規でチャイルドシートの購入を検討されている場合、お車の形状にもよりますが、
R129規格のチャイルドシートをご購入された方が、安全面においてもおすすめできると言えます。

●ジュニアシート

ジュニアシートとは、3歳から10歳くらいまでの子供用シートです。
チャイルドシートほど一般的な言葉ではないので、ピンとこない方もいるかもしれません。

子供の成長によって利用開始時期に違いが出てきます。
ジュニアシート利用の目安としては「身長100cm以上、体重15kg以上」となります。

ジュニアシートはチャイルドシートとは異なり、車に取り付けする事がありません。
車の座席にジュニアシートを乗せて、その上にお子さまが座り、シートベルトで固定します。
分かりやすく言えば、車の座席に座布団を敷いているような感じです。

安全な位置でシートベルトがかけられるかどうかがポイントになってきます。
この場合の安全な位置というのは、シートベルトがお子さまのお腹や首にかかっていないか?
という事になります。

車を運転している以上、どれだけ気を付けていても、事故や急ブレーキをするシーンがあります。
お子さまの首にシートベルトがかかっている状態で急ブレーキを踏めば、お子さまの首が絞まってしまったり、お腹の上の方にシートベルトがあれば、腹部を圧迫する事になります。

背もたれ付きのジュニアシートには、ヘッドレストの下や肩部分にベルトガイドと呼ばれるベルト通しがほぼついています。
また、お腹の部分も必要以上に食い込まないように、同様のベルトガイドがついています。

冒頭でお伝えした通り、チャイルドシートは、6歳未満は着用義務となっています。
車のシートベルトは、身長が140cm以上を想定しています。
お子さまの身長が140cmになるのは、一般的に小学6年生(11歳頃)となっています。

チャイルドシートの使用可能年齢は4歳までとなっているので、最低でも2年間はジュニアシートが必要になります。

必要とは言え、チャイルドシートはかさばりますので、社内がどうしても狭くなってしまいます。
実際には、3歳程度でジュニアシートに買い替えされるパターンが多いですね。


●ブースターシート

3歳以上のお子さま用シートとして、ジュニアシートの他にブースターシートがあります。
こちらは、ジュニアシートの座面が無い、さらに簡易版というイメージになります。

背もたれが無いので、首部分のベルトガイドがありません。
その為、ジュニアシートは、身長100cm・体重15kgから使用可能でしたが、
ブースターシートは身長125cm・体重22kgからの使用をお勧めします。

これには理由があり、2017年2月にブースターシートは、身長125cm・体重22kg以上で使うことが
国連欧州経済委員会によって義務付けられました。(UN/ECE R44/04 S11)

繰り返しの説明になりますが、シートベルトは身長140cm以上を想定しており、身長が140cmに満たない場合はジュニアシートを使う事で、シートベルトの位置を適切な位置にしています。
背もたれの無いブースターシートは、本体の高さを見ても20cm程度なので、お子さまの身長が125cm
程度ならば、首にかかる事なく使用できますが、それ以下の身長の場合、首にシートベルトがかかってしまいます。

また、ブースターシートは背もたれが無い為、側面からの衝突や、車が横転するような場合には、
特に危険という事で、上のルールが義務付けられました。

日本では、まだ規制や使用の禁止がされていませんので、法律上は身長100cmから使用が可能ですが、
安全面を考慮すると、身長125cm以上での使用をお勧めします。

●その他

一般的な子供用シートについては、ベビーシート・チャイルドシート・ジュニアシート・ブースターシートになりますが、その他の種類として、使用期間が長めに設定されているモデルがあります。

上の画像左側のチャイルドシートは、新生児から7歳まで使用できるモデルで、部類的には新生児用
チャイルドシートになりますが、ロングユースモデルなどの呼び方をされている事が多いです。

画像右側のシートは、1歳から11歳頃まで使用できるモデルになります。
こちらは、チャイルド&ジュニアシートなどの呼び方をされています。

1台で長い期間使用できる事はお財布的にとてもありがたいのですが、
身長50cm・体重3kgの新生児から、身長120cm・体重22kgの7歳児まで使用できるわけです。
勿論メーカーも考慮していますが、窮屈であったり、大きすぎたりという事もあります。

小さい年齢から使用できるモデルは、相対的に本体が大きく、車内空間が狭くなります。
「きょうだいが出来て、チャイルドシートが2台必要になった」などの場合、
軽自動車や後部座席が狭い車だと、車内空間がかなり窮屈になるかもしれません。

また、今使っているチャイルドシートは下の子用にして、上の子にはチャイルド&ジュニアシートを使用する「買い増し」のパターンもあります。

チャイルドシートの固定方法や取付場所

●チャイルドシートの固定方法

チャイルドシートの車両への固定方法は、現状では2通りあります。
3点式シートベルトによる固定方法と、ISOFIXでの固定方法になります。

3点式シートベルトでの固定
車の座面にチャイルドシートを置き、3点式シートベルトで固定します。
ISOFIXよりも取付が複雑ですが、幅広い車種に対応できます。
取付金具が存在しない為、本体が比較的軽量で、付け替えの際の持ち運びはしやすいです。
取付ミスがISOFIX固定に比べると発生しやすいです。


ISOFIXでの固定
チャイルドシート本体には取付用のコネクタがあり、車の座席にはISOFIX用の取付金具があります。
本体を取付コネクタを、座面の取付金具に連結するだけです。
取付方法が非常にシンプルで、取付ミスがほとんどありません。
ISOFIX対応の車両でないと、取付が出来ません。
チャイルドシート本体が重たい傾向にあり、付け替えの際の持ち運びで苦労する事があります。

3点式シートベルト&ISOFIX両方で固定するというモデルも存在します。


取付時のポイント
・ヘッドレストが邪魔する事もあるので、取り外してからチャイルドシートを取り付けします。
・シートベルト固定の場合は、チャイルドシートにしっかりと体重をかけて、ぐらつきのないように
 シートベルトを引っ張りながら締め付けます。
・チャイルドシートハーネスは、大人の指が入る程度を目安に、適度に締め付けましょう。
・後向き取付時のチャイルドシートハーネスは、お子さまの肩の位置より下から取り出しします。
・前向き取付時のチャイルドシートハーネスは、お子さまの肩の位置より上から取り出しします。


●チャイルドシートの取付場所

街で、助手席にジュニアシートをつけている車を見かける事があります。
助手席はエアバックが作動した際にお子様が怪我をする恐れがあり、大変危険です。

チャイルドシートは後部座席、できればより安全に乗せ降ろしができる歩道側(左側)
取り付けるようにしましょう。

座席が2列(4人・5人乗り)の車の場合、後部座席への取付がおすすめします。

3列(7人・8人乗り)の車の場合は、2列目>3列目の順がおすすめです。


後向き固定と前向き固定

新生児対応のチャイルドシートには、後向きでの固定と、前向きでの固定があります。
産まれて間もない時期は、後向きに取り付けを行います。

これには理由があり、子どもは頭が重く、骨の発達も途中である為、同じ事故をした場合でも、
大人と比較して大けがになりやすいと考えられています。
後向きの場合、衝撃を背中全体で受け止められるので、力が分散されます。
このため、小さな子どもは後向きで座るべきだとされています。

また、新しい規格R129では、後向きの使用期間も明確に定められています。
身長が76cm以上かつ月齢15ヶ月までは後向きで使用する事になっています。
月齢が15ヶ月以上になっても、身長76cm未満の場合は、前向きでの使用は不可という事になります。

・身長が76cm未満&月齢15ヶ月までは後向きで使用する
・身長が76cm以上で月齢が16ヶ月からは前向きでの使用も可能